短歌 

俳句と同様、NHKと新聞に投稿した中で
入選作の中から纏めてみました。



     むらさきに 山はかすみて 若き日に
              読みしヴッセの 詩を思いをり


     しぶりくる まなここらして 読む文の
              我が知らざりし 事の多かり


     幸せは さもあらばあれ 先ずはこの
              温かき布団に ふかぶかと寝る


     病室は みなそれぞれに 修羅ありて
              看るも病めるも かりそめならず


     愚痴一つ 空に放てば 燦々と
              降りそそぐ陽に 散りてくだける


     かざられし 駅前舗道 広くして
              春告ぐる雨の あたたかく降る


     雨となる 気配ふくみて 吹く風に
              昨日たずねし 桜花おもふ


     子の留守を 訪えば小庭の 牡丹咲き
              ライラック咲き 春はたけなわ


     すみれの花 その紫の ほのかなり
              春あけぼのの 森の中にて


     一昼夜の 心電図つけ 階段を
              上ってみたり 下りて見もする


     派手目が良しと 姪がくれたる 花柄の
              傘さし行けば 雨もよろこび



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