春の句 1


   黒潮の 中の一島 風ひかる

   海凪ぎて 菜の花色の 安房の国

   灯台の 暈の端かかる はるの月

   就中 てんでんしのぎ 漁夫かへる

   光太郎忌の 九十九里浜 逍遥す


  喜寿の幸 かみしめおれば 亀鳴けり

  春日傘 少し派手目と 添え手紙

  月おぼろ 迷いにまよふ 助詞ひとつ

  長らえて 冥加なりけり 花衣

  犬吠の 海に消え行く 春の雪



  
造反の 一羽もありて 雁かへる

   白藤の 香にさそわれて 三度訪ふ

   春愁や 身は雑踏の 中にあり

   蒔く種に 生きる元気を もらひをり

   金婚や 心つくしの あらい鯛


                                        
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