一世紀 近くも生きし 母の笑み ベッドの上に 日毎澄みゆく ひねもすを ベッドに過ごす 老いし母 「生きるの飽きた」と 猫につぶやく 夜半に目覚め 母の寝息を 確かむる 小さき不安の 消えるよろこび しみじみと 苦労を語る 母の眼は 流した涙で かくも澄みしか ただそこに 寝ているだけで あたたかい ベッドの母は 私の陽だまり ☆選者評 一世紀近くを生きてこられたお母様。 苦労を乗り越えて、その眼差しは日毎澄み切ってゆく。 二首目の猫に語るひょうきんさも愛らしく、 三首目のほっとした喜びも暖かい。 そして五首目には、長い年月の末にたどり着いた 母と子の至福の姿が描かれ、感動が深い。 関連の記事がブログ「そよ風になって〜」の方に載っております。 此方からご覧下さいませ。 |
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