澄みゆく 

母の姉である明治40年生まれの伯母を在宅介護している、
従姉の短歌が今回所属している短歌の会『しきなみ』で新人賞を戴きました。
承諾を得て、此処に掲載をいたしました。







     一世紀 近くも生きし 母の笑み
              ベッドの上に 日毎澄みゆく 



     ひねもすを ベッドに過ごす 老いし母
             「生きるの飽きた」と 猫につぶやく



     夜半に目覚め 母の寝息を 確かむる
              小さき不安の 消えるよろこび



     しみじみと 苦労を語る 母の眼は
              流した涙で かくも澄みしか



     ただそこに 寝ているだけで あたたかい
              ベッドの母は 私の陽だまり




       ☆選者評
      
         一世紀近くを生きてこられたお母様。
         苦労を乗り越えて、その眼差しは日毎澄み切ってゆく。
         二首目の猫に語るひょうきんさも愛らしく、
         三首目のほっとした喜びも暖かい。
         そして五首目には、長い年月の末にたどり着いた
         母と子の至福の姿が描かれ、感動が深い。

      


      関連の記事がブログ「そよ風になって〜」の方に載っております。
                     
         此方からご覧下さいませ。







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